日々の生活の中で「政治」を強く意識することは少ないかもしれません。けれど、税金、福祉、教育、安全保障、外交――わたしたちの暮らしのあらゆる場面に関わっているのが政治です。そして、これらを動かす「政治力」とは、国の進む方向を決め、他のすべての国力を調整し、支える中枢です。
政治力とは何か
政治力には、大きく二つの側面があります。
- 内政(内務):税制、福祉、治安、教育、産業政策など、国内の仕組みを整える力
- 外交(外務):他国と交渉し、関係を築き、主権と利益を守る力
政治力は、これらを的確に判断し、国民のために最適なバランスを見出す「調整の力」でもあります。
政治力が弱まるとどうなるか
政治の力が機能しなくなると、社会全体がゆっくりと、しかし確実に不安定になっていきます。
- 税金や制度が一部の層に偏り、格差が拡大
- 経済、技術、資源、防衛などの分野で必要な支援や改革が遅れ、衰退していく
- 治安や公共サービスの質が低下し、日常生活の安心が失われる
- 社会的に弱い立場の人たちが、見捨てられたままになる
- 国際的な舞台での交渉力を失い、他国の都合で文化や制度が左右される
- 国内外での信頼を失い、国としての存在感が薄れていく
つまり、政治力の廃退は、「貧困と孤立による社会の廃退と治安の悪化」「経済・技術・資源・防衛・食糧ありとあらゆる分野における他国からの搾取に対抗できずひたすら貧困化」など「国全体の意思決定があいまいで、守るべきものを守れない状況」を招きます。
日本の現状
今の日本でも、政治のあり方についてさまざまな課題が指摘されています。
- 増税・減税をめぐる議論では、一般家庭の負担感が増す一方で、富裕層に有利な税制変更が行われてきた現実があります。
※1988年から2020年までに、所得税や相続税の最高税率は15%ずつ下がりました。 - 外交面では、従軍慰安婦問題や捕鯨文化に対し、外国からの強い圧力にさらされ、日本の立場をどう守るかが問われ続けています。
- 一方、政治家の言動やモラルに対する信頼感が揺らぎ、国民の政治参加意識の低下にもつながっています。
政治が「遠いもの」とされてきたツケが、今、社会全体に回り始めています。
政治力を支えるもの
本来、政治力とは「誰かに任せきり」にするものではなく、国民がつくっていく力です。そのために必要な土台は、次のようなものです。
- 国民の意思と参加(民主主義):選挙、言論、地域活動などを通じて、社会の方向をともに考える
- 教育:主権者としての国民が、自国の課題を正しく理解できる土台
- 政治家の品格と責任感:自らの利害ではなく、国全体の将来を見据えた判断が求められます
- 他の国力との連携:経済や技術、外交や安全保障など、全体の設計図を描けること
政治力とは、国の「頭脳」でもあり、「神経系」でもあります。それが鈍れば、体全体が動かなくなる。逆に、政治が健全に働いていれば、他の力も活かされ、社会全体がいきいきと動き始めます。