普段はなかなか意識しないものですが、震災をはじめとした緊急事態が発生すると、私たちの生活を支えてくれている基盤の大切さを思い知らされます。基盤が崩れると私たちは落ち着きを無くし、穏やかな日常を無くしてしまうのです。
2024年の年明けに石川県能登地方で発生した大地震は、日本のインフラの脆弱性を露わにしました。道路が寸断され、被害状況の把握すらも難しいという現実。強靱な道路があれば助かった命も少なくなかったはずです。
日本を取り巻く最大の脅威、南海トラフ大地震、首都直下地震。その発生率は30年内に70〜80%とも言われ、想定されている被害もとても甚大です。
これらのリスクに直面して大切なことは、これまでの災害を振り返り、政府が取ってきた対策が十分だったかを再考することではないでしょうか。災害が起きるたびに感じる違和感。違和感をきっかけに考え始め、確信したのは対策が十分ではないということでした。できることが山程あるのに、やっていないということでした。
単に費用対効果や財源の問題で仕方ないと諦めても良いものでしょうか。
今一度、しっかりと現状を再認識し、その甚大なる破壊力がもたらす震災の脅威とともに、その脅威を乗り越えるために必要な情報を共有したい。
日常を守るために我々に求められる経済的、思想的、精神的な日本の強靭化への知識、そして次世代の豊かで安全な暮らしを慮る心をもって共に考え、希望をもって生きるための基軸を模索していく一助となりたいと願う仲間が集まり「ともしびプロジェクト」を立ち上げました。
考え模索するための手がかりとして各種文献のまとめや紹介、また、コラムとして各々の考えを述べあい、落ち着いて考えることができる場を目指しています。
私たちの「穏やかな日常」を守ること、その為にできることを真剣に考えて、実行に移さなければならないと思います。
本気で取り組めば、日本は危機を乗り越えられる可能性を大いに秘めているのです。
ともしび運営スタッフが出会うきっかけとなった雑誌「表現者クライテリオン」の創刊の辞には、下記のように記されています。
炎を灯してこの火炎に加わらずして生きているといえましょうか。
本誌によるこうした社会的、実践的かつ思想的な批評活動が、今日の様々な危機の超克にどれだけ貢献し得るのかはもちろん分からない。しかし、故西部邁先生が「逆境であればこそ希望の炎が立ち上がる」と宣言しつつ展開した「発言者/表現者」の、まさにその「希望の光」が本誌、そして読者各位の内に引き継がれていることは確かだ。
であるなら我々はその炎をいかにして重ね合わせ、灯し続けることができるかを総合的、多様性、運動性の全てを見据えながら、時にこれまでの形式・内容を打ち捨ててでも個別具体的かつ戦略的に考え続けねばなるまい。そして、時宜を得た暁には一気呵成に大きな火炎を巻き起こし、それぞれの危機を乗り越える生の実践を全力で模索せねばなるまい。繰り返すがもちろんその帰結がいかなるものとなるかは分からない。しかし、だからこそ、その思想と実践を駆動する「希望の炎はより大きく立ち上がる」のである。
ともしびは雑誌「表現者クライテリオン」の読者、表現者塾関西支部のメンバーが中心となって運営しています。