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このページでは下記の文献を中心に、首都直下地震で想定されている被害についてまとめました。
東京近辺では過去400年間マグニチュード8級の地震が2回発生しました。
- 1703年M8.5 元禄地震(約2,000~3,000年に一度発生)
*wikiにはM7.9〜8.2と記載。M8.5は鎌田浩毅/揺れる大地を賢く生きる 2022年より - 1923年M7.9 関東大震災(200~400年に一度 →2120~2320年の間に必発)
阪神大震災と同等の規模のマグニチュード7級の直下型地震は頻繁に発生しており、今後30年間(鎌田浩毅/揺れる大地を賢く生きる 2022年出版時より30年)でその発生確率は70%と推定されています。
東日本大震災では首都東京が担う政治・経済の日本の脳幹・心臓機能そのものは維持されました。
そのため東日本の各被災地への救援するための様々な手立てが首都東京を中心に日本が一体となって検討され、支援救援が実行されました。しかし、もし首都圏や太平洋ベルト地帯が壊滅的な被害を受けた場合、その被災地域を誰が「助ける」ことができるのでしょうか?この疑問は、今後の災害対策における重要な検討事項です。
過去のM8以上の東日本海溝型地震後、全ての事例で首都圏地震が連動
東日本側 | 西日本側 | 首都圏 |
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貞観地震 869年 M8.3〜8.6 | 仁和地震(東海・東南海) 18年後 887年 M8.0-8.3 | 相模・武蔵地震 9年後 878年 M8.4 |
慶長三陸地震 1611年 M8.1 | 慶長大地震(東海・南海・東南海) 6年前 1605年 M7.9-8.0 | 慶長江戸地震 4年後 1615年 M6.1 |
明治三陸地震 1896年 M8.2 | 明治東京地震 2年前 1894年 M7.0 | |
昭和三陸地震 1933年 M8.1 | 昭和東南海・南海地震(東南海・東南海) 11年後 1944-46年 M7.9-8.0 | 関東地震 10年前 1923年 M7.9 |
東北地方太平洋沖地震 2011年 M9.0 |
過去の東日本海溝型のマグニチュード8以上の地震では、全ての事例で首都圏地震が連動して発生しました。
- 全ての事例で、M6-8級の首都直下型地震が10年以内に連動的に発生
- 3/4例で、西日本側海溝型地震が18年以内に連動的に発生
- 3/4例で、首都直下・西日本海溝型地震が共に18年以内に連動的に発生
首都直下型地震による直接被害と確率
土木学会2018 レジリエンス委員会報告書「『国難』をもたらす 巨大災害対策についての技術検討報告書」 https://committees.jsce.or.jp/chair/node/21 | 土木学会推計(2024年版) 国土強靱化定量的脆弱性評価委員会 | 土木学会 | |
死者数 | 2万3千人 | |
被災者数 | 500万人 | |
家屋被害 全壊・消失 | 61万棟 | |
資産被害 | 47兆円 | |
20年累計 経済被害 | 778兆円 | 計1001兆円 「経済被害」が954兆円、 被災した建物などの被害額を示す「資産被害」が47兆円、 →21兆円以上を投じて道路や港湾などの公共インフラの対策を進めれば、 復興にかかる期間を5年ほど短縮し、 954兆円の経済被害をおよそ4割の369兆円減らし、585兆円まで抑えることができる |
20年累計 財政被害 | 77兆円 | 389兆円 |
発生確率 | 30年以内に70% |
対策に公的な支出として21兆円以上を投じれば、復興にかかる期間を5年ほど短縮し、20年間累計の経済被害はおよそ4割縮小
2024年、土木学会から新しい推計が発表されました。
被害を避けるための対策については、道路網の整備や緊急時の輸送路で電柱が倒れないよう地中に埋設する工事、橋や漁港、港湾の耐震化、建物の耐震化を進め旧耐震基準を新耐震基準に強化することを挙げています。
こうした対策に公的な支出として21兆円以上を投じれば、復興にかかる期間を5年ほど短縮し、954兆円とされる経済被害は369兆円、率にしておよそ4割縮小できるとしています。(*1)
また、復興に必要な費用が137兆円、税収の減少が14兆円それぞれ圧縮され、151兆円の財政効果があるとしています。
- NHK「首都圏 NEWS WEB」2024.3.14
首都直下地震の経済被害 1001兆円 土木学会が推計見直し
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20240314/1000102907.html
*1)本サイトによる補足
21兆円以上の公的な支出によって、20年間の累積経済被害額が954兆円から585兆円まで抑制され、差額369兆円分の経済効果(減災額)がある。
第二次世界大戦突入へのきっかけとなった4大恐慌の1つ
戦後恐慌
第一次大戦主戦場の欧州諸国が市場に復帰。大戦景気での増産体制であった日本の供給能力は過剰となり、輸出用品の価格が暴落。1919年から貿易は輸入超過に転じた。
首都直下型地震による震災恐慌
1923(大正12)年東京を襲った犠牲者10万人以上の大災害により日本経済が麻痺。
金融恐慌
戦後恐慌・震災恐慌による経済界の打撃。震災手形の処理を巡る混乱が発生。
昭和恐慌
旧平価による金輸出解禁