私は大阪市内で生まれ育ち、現在51歳で中高生二人の父親です。24歳の頃、縁あって自動車関連のサービス業のお店を引き継がせて頂き、経営を続けている者です。
第二次ベビーブーム世代の大阪育ちということもあり、戦争も災害も過疎も目の当たりにすることもなく生きてきました。また、20代前半ぐらいまでは政治などにほとんど興味がありませんでした。
私にお店を引き継がせて下さった方は、若かりし頃軍人で、戦争で命がけの大変なご苦労をされた方でした。その方のお話を聞かせていただき、本なども贈っていただいたりしたことにより私も政治や経済の事などについての本を読むようになりました。
そんな私が近年この日本について特に注目しているポイントは次の一点です。
現在、日本ではかなりの割合の人々が「国が借金をしてお金を使うことは悪い事だ」と思い込んでいるようだ。結果的に公共事業は減らされ、経済は成長できずにいる。
その結果、世界中の国々が経済成長をしている中、日本だけが20年以上も経済成長できずに衰退してしまっているというのです。世界で唯一の衰退途上国日本。「安い国」に成り下がった日本の土地や会社は外国人に買いまくられていて、名だたる大企業も今や株主は外国人という状況だそうです。
私たちの生活を守り、国土を改善する公共事業までもが「国のお金の無駄遣い」であるかのように悪者扱いされ、激減しています。結果、交通インフラ、港などは満足に整備されず、防災のための工事も満足に行われていないそうです。
「国の借金や公共事業は悪者」という思い込みのせいで防災もインフラも整備されず、経済も衰退する。この思い込みは我が国日本にとって実はとても危険なものなのではないか。そう思っています。
ところで、私自身は政府関係者などではなく、今のところ何かの政党に属するわけでもない、周りに政治家がいるわけでもない、言ってしまえば「ただの個人」です。ですから、自分自身が思想や政策についていくら考えても、仮に考えたことが正しかったとしても、政府の方針などに直接その考えを反映できるわけではありません。そんな私でありながら政治や思想の事を考えたり、それを周囲の人に語ったりSNSで発言することがあります。それをやると、違う意見を持っている人とは喧嘩になったり不仲になる事もあります。関係の深い人ほど、それはつらい。意見の違う人と何時間も堂々巡りの言い合いをしましたが、ケンカになるだけで何も良い事が無かったという経験も、何度かあります。では、なぜそのように一見不毛に思えるようなことを自分はやるのか。
私には2人の子供がいます。彼らは私にとってはとても尊い存在で、生まれて来てくれたことにいつも感謝しています。
その彼らに対して時々私は心の中でこう思うことがあります。
「お父さんは先人たちが多大な努力と犠牲を払って築いてくれた日本で幸せに50歳過ぎまで生かせていただいているよ。昔は日本の為に力を尽くす偉い人がたくさんいたんだ。お父さんの青春時代の日本は豊かで、世の中には色々あるにせよ個人的には楽しくすごしていた。しかし、もしかすると君たちにはそんな時代がないかもしれない。大地震が近い将来来ることが分かっているのに政府がお金を出さないために満足に対策ができていないという体たらくだ。経済が衰退してどんどん貧しい国になり、豊かさやおおらかさの失われた厳しい社会になりそうだ。現時点でも、かなり貧しくなっていることを実感できる。それが、君たちがこれから生きていく日本だ。そして、そうなってしまっているのは、お父さんを含む今の大人たちの責任だ」と。
日本が壊れてしまっていては、いくら個人が努力しても幸せは望めません。私がやっている一見不毛なことがただの「無様なもがき」でしかないのかどうか、わかりません。が、どちらにしても先人たちの苦労や子供達への責任の事を考えると、そんな事は小さなことに思えます。だからやらないよりやった方が良い。そう思っています。
ここまでお読みいただいた方に感謝いたしますとともに、お願いしたいことがございます。
もし今、「日本の国家の借金が危ない」とか「国が借金をして公共事業を行うことは悪い事」という風に少しでもお思いでいらっしゃいましたら、今一度じっくり「本当にそうなのか」ということを考えていただきたい。私たち個人や会社にとっての「借金」と、国家にとっての「借金」とでは、意味が全く異なります。あなたがそこを考えてくださることが、日本が良い方へ方向転換してくれることの一歩になるのかもしれない。